パリンチンス再び。(相乗りの日)

としみん

2010年09月19日 13:29

わしが巡回出張する西部アマゾン地区の日本語学校の中でも
特に特殊な環境なのがパリンチンス。

今年始まったばかりの日本語クラスは
150人近くの生徒がいるけれど
教えているのは青年ボランティア一人。
アシスタントの女性がいるとはいえ、なかなか過酷な仕事だわ。
朝は早いし、夜は遅い。
授業自体は楽しくやっているのだけれど
なかなか、教材を作ったりする時間もないようだ。

陸の孤島パリンチンスでは
日本文化を連想させる掲示物を入手するのも困難なので
今回、マナウスの領事館にお願いしていろんなグッズを手に入れた。
そう。わしは運び屋でもあるのだ。

前回は、短い滞在時間の中にビラ・アマゾニア訪問、
尾山氏訪問、授業見学、副市長訪問、イベント参加と
詰め込むだけ詰め込んだ感があったが、
今回は初級クラスの教材作りがメイン。

日本文化も何もないパリンチンスで
孤軍奮闘するビアンカみず紀嬢のサポートをしつつ
年間スケジュールを組んだり
授業の組み立てを考えたり、
来週行われるイベントに出場する
日本語クラスの生徒の歌の指導をしたり、
やることいっぱい。

朝6時発の飛行機でパリンチンスに向かう。

空港で「この列、パリンチンス行きですよね。」
と話しかけた女性は、ナラさんっていうひとでなんと日系三世だった。
しかも、名古屋のカラオケルームで働いていた経験もあるという。
もう12年前のこと。
だから、日本語はあいさつ程度少しだけ覚えているらしい。
パリンチンス行きの飛行機は(この時期だけだと思うけど)
自由席だったりするので(内部は新幹線みたいなのだ)
ナラさんと一緒に座ってずっと話をしてた。



現在は市の厚生課に勤めている彼女に
バンバン質問の嵐。
「日本祭りみたいなことやったら盛り上がるかなあ?」
「食べ物を紹介するとしたらどんなメニューがいいかな?」
「何人くらい手伝ってくれるかな、何人くらいお客さんくるかな?」とかね。

とてもやさしい彼女は
ぼくが空港からイノマタタダシ学園まで行くって知って
「友達と三人でそっち方面通るからタクシー割り勘にしましょ!」
って言ってくれた。ありがたいっ!領収書はもらえん!まあいいか。

午前7時半から授業がはじまっているというイノマタタダシ学園で
いきなりの授業参加。



午前クラスに通う生徒全員の前で
「おさるのアイアイ」を教えるビアンカ先生とわし。



学校の先生も巻き込んですごい盛り上がりだった。
このほか、わし一人で
西部アマゾン日伯協会のリエ先生の授業でやっていた
リズムを取り入れた言葉遊びをやってみたり
なぜか、リクエストに応えてラ・バンバを歌ったりもしたよ。
ラ・バンバっていっても、もちろん子どもたちに合わせて
たった今覚えたばかりの日本語を織り交ぜてのもの。大合唱!

子どもたちはグレーシートレインのように
前の人の肩を持って一列になって教室に戻って行った。

次の授業が始まっても
教室の中で「アイアイ」言ってる声が聞こえてくる。
こりゃ大成功だな。

そして、午後クラス。
さらにすごい盛り上がり!



なんちゅうても小学校中学年くらいのクラスなので勢いがある!
学校の外からも大勢の人たちが興味深そうに覗いていたよ。



こちらはエレーナ先生。
やたら気をつかってくれるやさしいひと。



パリンチンスは、とにかく日差しがキツイ。
ビアンカ嬢はインディジョーンズのようだ。



食事の後、キムラ語学センターに移動。
来週はここでイベントがある。
手話のクラス、スペイン語のクラス、英語のクラス、日本語のクラスの
代表者が歌を歌うことになっている。
学校側は「トシミー。来週も来てくれ!」とか言っているが
わしゃ歌のお兄さんちゃうでー。
急な話なので無理ですーってことになったが
12月ごろに行われるダンスの催しには行くようにしますデス。

なにはともあれ、
来週のそのイベントに向けてビアンカ先生が
授業の中で日本の歌の歌唱指導をしてきた。



通信状態がとても悪いパリンチンスでは
日本の歌の音源をゲットするのも一苦労。
マナウスでダウンロードした音源を圧縮してメールで送らんといかん。

でも、苦労の甲斐あって
「瞳を閉じて」に「涙そうそう」「風になりたい」を大合唱してる。
なんか、嬉しくなってくるねえ。ちょっとジーンときた。



この後、
わしも簡単な授業+歌をみんなで一緒にやらせてもらった。
この際だからなんでもありだ!とばかりに
大人に無理やり「アイアイ」を踊らせる。
でもこれが大受けしたんだよね。

授業の後のミーティングも終わり
街中からちょっと離れたホテルまで帰らなければいかん。
日が暮れたらもう真っ暗なんだわ。
移動はバイクのタクシー。その名もモトタクシー。
通称モトタク。

昼間はこんなんだが…



夜になると街灯もないのでヘッドライトを頼りに
近づいてきたところを捕まえるというね、まるで魚採りのようでしょ。
大通りを歩けばなんとか見つかると思ったのが大間違いでなかなか捕まらん。

わしは、教材を入れた小さいスーツケースを
ゴロゴロやりながら夜の通りを彷徨っておった。
かなーり暗い人通りの少ないところまで歩いてきちゃったので
さすがにヤバいなと思い
たまたま交差点で止まった二人乗りの女性
(たぶん親子だあね)に尋ねてみた。
「アマゾンリバーホテルに行きたいんだけど、遠いよね。」
すると、二人組が
「すんごく遠いから乗せていってあげるよ。」って
三人乗りで行くことになった。前に女性、後ろに女性
右手でスーツケース。恐怖の三人乗り。

ありがたや。ありがたや。

相乗りに始まり、相乗りに終わる。
なんとか怒涛の一日目が終わっただよ。

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