教室を飛び出して④

としみん

2012年02月03日 23:54

ほどなくして墓地に到着。
ここでも、去年行われた記念式典のことや、
アマゾナス州議会で戦後の日本人に対する扱いを謝罪したことや
ジュート栽培など日本人移民の偉業を認めたことや
この墓地の説明などを日本語でした。
生徒たちの目は真剣で
さっきまでわいわい騒いでいた
ピクニック気分の生徒たちと同じとは思えないほどだった。

生後1年も持たなかった赤ん坊の墓石も
全員の心に訴えかけるものがあったようだ。
夢と強い意志をもって2万キロもの彼方からやってきた日本人が
暑さや病気と闘いながらここで生活していたのだ。

ビアンカ先生が蝋燭と線香を用意していた。
「お線香の上げ方にルールはないけれど、気持ちをこめて
ぼくたちの先祖にお線香をあげてほしい。」とお願いした。
80周年の記念式典でも披露した高拓生の校歌も
今回は墓地で歌うことができた。
1番の歌詞を朗読し、イラセマがそれを訳していく。

ジエゴさんという生徒が言った。
「ぼくのおじいさんに聞いた話なんだけど
戦争当時に政府の関係機関から『お金をあげるから日本人を殺せ』と
言われたことがあったようなんだけど、ぼくのおじいさんは
そんなことはしなかった。」
生々しい証言だ。
ビアンカ先生に聞くとこの手の話は他にも証言者がたくさんいるようだ。

今回の移住学習授業に参加したのは
15歳から65歳までとさまざまな世代の生徒たちだ。
共通点は、日本語に日本の歴史に日本の文化に興味をもっていること。
全員がこのヴィラアマゾニアに生きた日本人に対する尊敬の気持ちを持っている。

墓地からまた元来た道を戻り、側道に入る。
そこは日本人が以前住んでいた住居跡で
現在は廃墟になっている。
生徒の一人が叫ぶ。「アリに噛まれたーっ。」

◆ジエゴさんは貴重なお話を聞かせてくれた。思いやりのある真面目な生徒だ。


◆記念碑の前で線香をあげる生徒たち。先人を想う気持ちに国境も国籍もない。


◆わしとイラセマの話に真剣に耳を傾ける生徒たち。


◆線香が煙るお墓の前で校歌を歌う。


◆日本人が以前住んでいた住居はすっかり廃墟になっていた。


◆この廃墟は以前はもっと雑草が生い茂っていたそうだが、今回は中まで入ることができた。


◎教室を飛び出して①
http://swampwater.hamazo.tv/e3447297.html

◎教室を飛び出して②
http://swampwater.hamazo.tv/e3447307.html

◎教室を飛び出して③
http://swampwater.hamazo.tv/e3447323.html

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