滞在二日目。
午前中、ホテルにお迎えの車がやってきた。
運転するのはアレッシャンドレさん。
ロライマのお米の会社「アホイス・イチカワ」の従業員だ。
1992年にゴイアイスからやってきた。この会社で働いて20年になるという。
赤道を越えた北半球の街、ボアビスタでは米の栽培が盛んだ。
リオグランジドスルなどに続いて
ブラジルの中でも2番め3番めくらいかな。
ここには、米を扱う会社が7社近くあるが
その中でも日系人のイチカワさんが経営する「アホイス・イチカワ」は最大級。
マナウス(飛行機で1時間の距離、東京~札幌間くらい?)にも
お米を卸している有力な企業なのだ。
アレッシャンドレさんはポルトガル語しか話せないので
なんとかがんばってついていかなきゃならん。
この日の午前中は、ブランコ川を越えた対岸にある
イチカワさんの土地を見学させてもらったのだ。
まあ、田んぼといってもその大きさは桁違いだ。
どこまでも広がる青々とした綺麗な田んぼに言葉を失うほど。
その田んぼの害虫駆除のために青い空を真っ黄色のセスナが飛んでいる。
それが何とも美しいコントラストだ。(音はやたらうるさいけど…)
田んぼの近くには
イガラペと呼ばれる小川が流れ、池や綺麗な浜辺もある。
小川には大きな汲み上げポンプがあり
汲みあげられた水は、手作りの水路を通ってすべての田に水を運ぶ。
「この川にはピラニアベルメーリャがいるよ。トゥクナレやマトリシャンも釣れる。
週末になるとたくさんの人がここを訪れてBBQをしたり釣りをしたりして過ごすんだ。」
「ほら。野生の豚も飼っているんだよ。美味いよ。」
田んぼのど真ん中には、ここで働くひとたちのオアシスのような食堂もある。
エジアーニさんという女性がコーヒーを出してくれた。
わしはマンジョーカ芋を揚げたものもご馳走になった。
現在は乾季なのだが、4月からの雨季になると
この辺一帯はすべて水没する。
食堂はその間撤去され、汲み上げポンプも解体される。
そこまで電気を運ぶすべての電柱も撤去されるのだ。
労働者も別の場所に移動していく。
田んぼも水路もそこに続く道も全てが水の中、魚のすみかになり
水没した木々の間を魚たちが泳ぎまわるようになる。
やがてまた乾季が訪れて米の栽培が始まる。
なんというサイクルなんだ!
そんな広大なアホイスイチカワの田んぼの一角を
試験田として米の研究・調査をしているのが27期の青年ボランティアヤスマさんだ。
2.5ヘクタールもある試験田で研究開発している米は
短粒種・長粒種合わせて19種類。
ブラジルの米は、タイ米のようなぱさぱさした長粒種が主流だが
日本のもち米やササニシキなどの短粒種の栽培も軌道に乗せたいという
現地のニーズに応えるべく灼熱の太陽の元、日々研究が続いている。
とはいえ、ヤスマさんによると
米は7~8年経たないと流通に乗るまで安定しないのだそうで
ボランティアの2年間の期間でできることは限りがあるという。
一緒に働いているブラジル人たちも
明るい方たちばかりで終始大笑いしっぱなし。
浜松のイベントに向けてのミニインタビューも撮らせてもらったよ。
ヤスマさんには頑張ってもらいたいなあ。応援してます!
3月の初めには、研究結果の発表を兼ねたお祭り「Dia de campo」も
おこなわれるという。わしも出席するように言われているのだ。
いい刺激を受けたな。
すごいパワーをもらって
またセントロに戻ってきた。
午後からはまた別の予定が詰まっているゾ。
◆田んぼに向かう道。この辺は全て雨季になると水没する。
◆川から水田に水をひくための汲み上げポンプ。かなり大きい!
◆野生の豚は美味いぞー。とアレシャンドレさん。
◆田んぼの中のオアシスでマンジョーカ芋を食べる。
◆オアシスも雨季には撤去されるのだ。
◆2.5ヘクタールもの広さを誇る試験田。
◆ヤスマさん、アレシャンドレさんと。