未来世紀ブラジル。~バルビーナをいく~

としみん

2012年06月11日 00:25

わしがお世話になっている西部アマゾン日伯協会に
隣接しているのがアマゾナス商工会議所だ。

その両方の機関で活躍されている3世の高山さんには
アヒルをまるごと(!)いただいたり
野菜をいただいたり
ふだんからいろいろとお世話になっている。

高山さんの趣味は釣りだ。

「今度連れてってくださいよー。」とお願いしたら
この祝日にホントに連れて行ってくれた。

早朝5時に出発。
目指したのはバルビーナダム。
ダムといっても日本のものとはスケールが違う。
高山さん曰く
60キロ×60キロの森林を水没させたものとのこと。



車はBR174という国道をひた走る。

『この道をいけばどうなるものか
危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし
踏み出せばその一歩が道となり その一足が道となる
迷わず行けよ 行けばわかるさ
1・2・3!ダーっ!』

いやいやいやいや、この道をいけばバルビーナなのだが
目的地までは165キロ。
さらに進むと赤道を越えて
北半球のロライマ州ボアビスタに辿りつく。約890キロ。

ちなみにその昔高山さんは週に2回
ボアビスタまでトラックに野菜を積んで売りに行っていたそうな。

さらに1500キロ進むとベネズエラまで行けてしまうという
ジャングルの中の一本道なのであります。

50~60年前に開通したこの道も
25年ほど前にきれいに舗装された。
トラックがバイクがバスが自家用車が
登ったり下ったりの丘の道を
びゅんびゅん飛ばしていく。

マナウスから35キロも走ったら
FMの電波も入らなくなる。
タピオカ焼きが旨いというランショネッチ(食堂)『プリシラ』を過ぎ
(プリシラなんて可愛い名前ついてるけどさあ、
出てくるのはこーんなに太ったおばさんだからね。騙されちゃいけないよ。と高山さん)
HONDAのテストコースや
農林水産省の退職者が花の栽培をしているという
『SITIO TUCANDERA』も横目に1時間半も進むと
アマゾナス州民の憩いの場所
『Presidente Fegereido』に到着した。

ジョン・バチスタ・フェゲレイドという
軍事政権最後の大統領の名がついた街だ。
ホテルがあり、レストランがあり、病院があり、大小さまざまな滝があり
家族連れがマナウスから日帰りできて水遊びを楽しんでいく。

そこも通り越し、まだまだ車は進む。

やってきたのはプレジデンチ・フェゲレイド市の一角にある
『RUMO CERTO』という小さな村だ。

ここで日系のベルナルド・ニシワキさんと合流。
船頭さん二人とわしとよめさんと高山さん&ベルナルドさんの6人で
アルミで固めた船に乗り込む。



水力発電のダムを作ったためにできた人口湖とはいえ
黒い大きなピラニアはいるし、イルカだっているのだ。
その広さはちょっと言葉では伝えきれなきくらい…。

水没した枯れ木(といってもかなりの大木)が
水面にニョキニョキ顔を出しているのは一種異様な雰囲気で
なんだかちょっと怖い。



六人を乗せた二艘の船はエンジン音も軽やかに
時々、水中に隠れた大木の頭にごつんと当たりながらも
奥へ奥へと進んでいく。(実際はダムの奥から戻る形だったのだけど)
日射しはかなり強く、日焼け止めのクリームを
何重にも塗って備えておかないといけない。

まずはルアーフィッシング初心者の我々に
高山さんのルアー講座が始まった。

日本人の血しか流れていない3世の高山さんだが
日本語を勉強し始めたのは20歳を過ぎてからだという。
日系企業の駐在員に頼み込んで
2年間毎日2時間から3時間猛特訓したそうだ。
現在の会話レベルは全く問題ないし、
ブラジル人特有のちょっと変わったイントネーションもない。
そんな高山さんのわかりやすい解説で
(一応…)リールの使い方をマスターして次に進む。



ここからはポイント、ポイントに移動していくのだ。
後はもう一日中
ジャングルの中でツクナレ・フィッシングを楽しむだけだ。

サルの鳴き声
小鳥の鳴き声
トゥカーノやアラーラが空を飛ぶ姿
遠くで光る稲光
高山さんの奥さんが作ってくださったお弁当
すべてが素晴らしく
贅沢な時間が過ぎていく。

そんでもってわしはこの雄大な景色の中
船頭さんとともに人造湖に飛び込んで泳いできたよ。



午後もひたすら釣り。
といっても釣れない釣り。

ベルナルドさん曰く
「今日は月(お月さま)がよくないね。
あの大きな月が出ている時はあんまり釣れないんだよ…。」とのこと。



最初にヒットしたよめさんから始まったこの日の釣果は
6~7匹ってところかなあ。
船頭さんは糸の先に小魚をつけて、竿も使わずに釣り上げていたよ。



わしだけボーズ。
悔しくて悔しくて夕陽が沈んでも
果敢にアタックしたのだけどやっぱり駄目だった。
リールの扱いにもだいぶ慣れてきただけに悔しくてしょうがないのだ。
これは近いうちにリベンジを果たさねばならん。

疲れ果てて自宅に戻ったのは9時半過ぎ。
行きも帰りも高山さんにずっと運転させてしまって申し訳なかったなあ。
話が面白いから帰り道もあっという間だったよ。

貴重な体験ができた一日だったな。
それにしても悔しーっ!


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