乾杯!①

としみん

2012年06月20日 12:10

アマゾナス州第二の都市パリンチンス。

まわりをアマゾン川に囲まれた人口十一万人の都市だ。
6月の末には毎年3日間『ボイブンバ』と呼ばれる奇祭がおこなわれることで有名である。

街は青のチーム『カプリショーゾ』と赤のチーム『ガランチード』に二分され
まさに祭り二色になる。(一色ではない…。)
その祭りに合わせて街中のすべての看板が赤と青で彩られている。
電話ボックスにガスボンベのタンク、それから配電盤まで赤と青。
この街ではコカコーラの看板さえも青色のものがあるんだ。

古くはインディオが住んでいたこの地方に
戦前ジュート産業をもたらしたのは
我々日本人の先人たちである。
良質のジュート麻の開発により、アマゾンだけでなく
ブラジル全体の経済が大きく変化した。
ブラジルといえばコーヒー。
そのコーヒー豆の麻袋の原料がジュートだ。

先月「ジュートの父」と呼ばれる尾山良太氏の息子多門氏が亡くなった。
イラセマ先生にビアンカ先生(今回はみず紀先生と表記する)にわしと
我々日本語教師陣も葬儀に参列した。

これで純粋な日本人はスーパー「CASA SONY」を経営する戸口久子さんのみになった。

戦前、パリンチンス付近のビラアマゾニア地区に高拓生と呼ばれる日本人が
計画的に入植し、熱帯の農業を研究し
商業ベースも念頭に入れ、順調に軌道に乗せ始めた頃
第2次世界大戦がはじまった。

日本はブラジルの敵国とみなされたため
移住者たちは言葉も仕事も土地も取り上げられた。

日本人の血をひくものは多くいるのに
日本語を使うものがいない土地。
日本人への敬意は誰もが持っているのに
日本のことは出かせぎがえりの人以外ほとんどが知らない土地。
そんな不思議な場所がパリンチンスなのだ。

◆ビール会社「SKOL」の看板も赤と青。



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