アマゾン川での修行。

としみん

2012年08月20日 11:44

日曜。



行楽客で賑わうアマゾン川の砂浜で
一人、投網の練習に勤しむおっさんがいた。



わし:こんなに人が大勢泳いでいるところで投網なんかして
   魚なんか捕まえられるんですか。

師匠:もちろんだとも。パクーにピラルク、いろいろ捕まえられるよ。

わし:ホンマですか?そうは見えないけどなあ。



師匠:なぬ?よし!お前もいっちょ、投げてみるか?

わし:いいんですか。ではご指導よろしくお願いします。

師匠:投網の猛特訓にどこまでついてこれるかな。うわははははははは。

わし:……。

師匠:まずは吾輩がお手本を見せる。
    うー!やー!たー!の掛け声とともに
    たー!で手を離すのだぁ。



師匠:うー!やー!たー!

わし:流石です。左足の上げ方がなんともお茶目ですね。
   しかしながら師匠、ゴミしか入ってないじゃないですか…。



師匠:つべこべ言わずに練習!練習!まずは網の持ち方から教えるゾ!

わし:はい。師匠。

師匠:ここをだな、こうして、手繰って手繰って手繰り寄せる。



わし:おい!そこのサカナ!今からこの投網で捕まえてやるからな!



師匠:こらっ!真剣にやらんか!

わし:すいまっしぇーん。

師匠:こっちの端を肩にかけてと。



わし:すんません。師匠。どうしてもずり落ちてきますーっ。

師匠:仕方のないやつだな。歯で押さえておけ!

わし:あいーっ。



師匠:よし!投げてみろ。思いっきりいけ!

わし:うー。やー。たー。



師匠:なんだ。全然だめじゃないか!もう一回教えるぞ。

わし:はいー。

師匠:まずは口でしっかり押さえておけ。

わし:ふがふがふが…。



師匠:返事は?

わし:ふがふがふが…。鎖が歯のエナメル質に当たって痛いっす…。

師匠:我慢せい。よし!もう一辺投げてみろ!



わし:うー。やー。たー。



師匠:あー。だめだ。だめだ。だめだ。
   そんな風に教えた覚えはないぞ。
   もう一度言うぞ。腰のひねりが重要なんだ。

わし:師匠。もういい加減飽きてきました。帰りたいっす。



師匠:最後のチャンスだ。やってみろ!

わし:うー!やー!たああああああああああああ!







師匠:おおお。いいじゃないか。
    こんなに短期間でマスターするやつはそうそういないぞ。

わし:いええええええええい!



師匠:後ろ姿がちょっと長州小力みたいだがよく頑張った。
   ところで獲物はかかったのか?

わし:はい!師匠。無事に捕獲しましたー。



アマゾン川のほとり、日曜の昼下がり。
終わりなき投網修行は、まだまだ続くのであった。

今日のBlogは、95%ノンフィクションであります。

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