『素晴らしい希望の丘』

としみん

2012年01月08日 21:15

アマゾンの日の出をたっぷりと堪能した後、
ホテルで朝食をとり、インディオ・ダウ行きに備える。
船にも乗れるし、対岸にもいける。
いいぞ。いいぞ。
わくわく気分で午前9時浜辺についた。

ジェシカさんとヒデミくんがスクーターに乗って現れた。
「さあ、いきましょう」と言ってジェシカさんは
ヘルメットを無造作にスクーターの上に置いた。
通りに面したレストランの前だ。
え?半日もこのままにしておいて盗まれないのかな。

確かにこの街はブラジルらしくなく
どこまでも安全に見える。
同じアマゾナス州でもマナウス市は犯罪も多く
全ての家のすべての窓に鉄格子がはめられ、
門扉も頑丈に作られている。
マナウスでわしが住んでいるところも
住居にたどりつくまでに5つも鍵を開け閉めしなきゃいかん。
ところがこのサン・ガブリエル・ダ・カショエイラの街には
そんな心配はない。窓もドアもあけっぱなしで鍵をかける様子もないんだわ。
ただの不用心という話もあるが…。

地元の看護婦であるジェシカさんは
最近までデンギ熱にやられていたらしく
赤く腫れた太ももを見せてくれた。
両足のリボンのタトゥーの回りがまだ赤く腫れて痛々しい。

浜辺に着いて船頭を探したが
生憎この日はどの船頭も例の大晦日イベントの準備に忙しく
船を出している場合ではないように見えた。

「うーん、いい船頭さんがいないわねえ。」
イベントの準備をしていない船頭たちはビール片手にふらふらしている。

真面目なひとはイベントの準備で
そうでないひとがあぶれて浜辺に残っているってことか。

こんな危ない人たちに命を預けるわけにはいかん。
「今日は危ないから中止。新年明けたらいきましょう。」ということになった。

うひー。まさかの中止。
ジェシカさんはスクーターに乗って去っていった。
あきらめも決断もすさまじく速い!

予定が一つ無くなっちゃったな。

ヒデミくんが言った。
「1月1日に登るって言ってた山に今から登ろうよ。
サラも呼んでさ、みんなで登ろう。」

新たな展開だ。
行き当たりばったりの極みだね。

われわれが登ろうとしている山は約230メートルの高さ。
山というよりは丘だわな。
「ボア・エスペランサ(素晴らしい希望)」という名前がついている。
アマゾナス州が作ったガイドブックには
小道のハイキングで15分ほどで頂上に到着するなんて書いてある。

4人ともサンダル履きだが大丈夫だろうか。
舗装されたアスファルトの道から山道に入ると
ヤノマミ族のサラは裸足になった。
大きなカスターニャ・ド・パラの木が山頂への入口だ。

◆街中から見た「ボア・エスペランサの丘」


◆アスファルトの道から山道へ入る。

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