『ヤノマミ族のコミュニティにいく』

としみん

2012年01月10日 05:06

先日、通過した時はただの四角い建物としか思わなかったが
今日はなんだか様相が異なる。
よく晴れた青空の下、山の麓にポツンと白い建物が見える。
そのまわりには無数の洗濯物が干してある。
入口には6,7人のインディオたちがたむろしていた。

タクシーを降りると全員が一斉に睨みつけてきた。
こわい。
なんだろうこの恐怖感は。

今まで出会ってきたインディオたちとは違った
何か本能に突き刺さる危険な感じがビンビンするのだ。

目がまず異常。アルコールやドラッグに侵されているものもいるだろう。
その中でも比較的まともで友好的な男性が手招きする。
「ここに座れよ。」
われわれは指定された場所(玄関脇のガスボンベの上)まで
草むらを歩いた。



う。


鼻をつく悪臭。

建物の周りはおびただしいほどのゴミの山。

劣悪な生活環境の中で何十人ものインディオたちが
小さい建物をシェアしている。
その建物のなかには縦横無尽に張られたいくつものハンモックが見える。
中からさらに20人程のインディオが出てきて
完全にまわりをとり囲まれた。
視線が痛い。

「何が目的だ。」というので
「インディオの作るアクセサリーに興味があるんです。
ビーズでできた民芸品はありますか。」と尋ねた。
WARIROがモダンで綺麗なスペースだっただけにこの落差は大きい。
余り刺激しないように話を続ける。
「ビーズのミサンガだったらだれかもってるだろうから物々交換しよう。」

物々交換か。
物々交換っていっても数十分前に大量購入したインディオの民芸品が
段ボール箱に詰まっているだけだ。
「これはなんだ。」とその中身を見ようとするものもいる。
「今日は旅行の最終日なんだ。これは交換できない。お金じゃあだめか。」
と聞いた。
こんなとき気持ちに余裕があったら
折り紙の一つでも作って
日本語の歌でも歌って親睦をはかるのに
緊張で喉はからから。
お金で解決しようとする自分もなんだか嫌だ。

突然だれかが
窓の外に水(らしきもの)を捨てた。
外に干してあった洗濯物にその水がかかり
一同がインディオの言葉で文句を言いだす。怒っているものもいる。
雰囲気が悪くなってきた。

「お金でもいいよ。」
交渉成立。歯が抜け落ちたちょっと気の強そうな女性から
何メートルもあるビーズの首飾りを
そしてまた別の女性からも腕輪を買うことができた。

財布の中身を覗き見られないように
「去年の末に浜辺でイベントあったでしょ。
あそこで歌を歌ったんだよね。」なんて言って注意をそらす。
雰囲気も良くなってきたところで
「写真を撮らせてもらっていいですか。」と聞いてみた。
みんなニコニコしながらOK、OKと言ってくれたが
一人だけ、胸に太陽の入れ墨をした男性が
「だめだ」と厳しい口調で答えた。
空気が悪くなってきたので
ゴミ屋敷を抜け出してちょうどやってきたタクシーに飛び乗った。
緊張感MAX120%だった。

同じ街に住む同じインディオ系のひとたちでも
生活環境がまるで違うということに驚かされた。
彼らはあのコミュニティをいつか抜け出せるのだろうか。
乗合タクシーがセントロに到着した。
何事もなくほっと胸をおろす。

荷物を運び込むためにホテルに入ろうとしたとき
「トシミー。」と声をかけられた。

年末のイベントで手伝ってくれた
地元のバンド「Banda Triáde」のシンガー、ダルシーだ。
「今夜ラジオに出るんだろ。(情報早いな。数時間前の話だぞ。)
それが終わったら浜辺のKUKAってバーにおいでよ。
弟と一緒にアコースティックライヴをするんだ。
弟は年末、ベースを弾いてたから覚えてるだろ。
また一緒に歌おうぜ。8時からやってるから待ってるよ。」

旅行最終日。あっという間に予定が詰まってしまった。

◆ヤノマミのコミュニティ。環境は劣悪を極める。


長編「アマゾン!赤道直下の街をゆく。」スタートページはこちら↓
http://swampwater.hamazo.tv/e3401686.html

関連記事