『アマゾンの年越し』

としみん

2012年01月08日 22:36

現場の総責任者である
市の建設課課長ファビオ氏に言われた通り
午後7時に浜辺についた。
まずまずの人で賑わっているが本番はこんなもんじゃないんだろう。

地元のバンドがリハーサルをしている。
ヨーロッパのファイナルカウントダウンだ。
ベタな選曲だなあ。
でもロックバンドが存在していたことがちょっと嬉しかったりする。

ファビオさんもペドロさんも当てにならんので
PA席によじ登って責任者らしき人に声をかけた。

「こんにちは。はじめまして。日本からやってきましたトシミです。
ミュージシャンです。(←適当!)
ファビオさんとお話したんですが
今夜ステージで歌わせてくれるそうで大丈夫でしょうか。
アコースティックギター一本っていうのも
さすがに寂しいので今リハ中のバンドのドラマーさんに
協力してもらいたいのです。」とまくしたてた。

責任者は一言。(実は彼は地元ラジオ局のDJだった)
「OK。アミーゴ。」秒殺で友だちになった。

彼は舞台横でスタンバイしている女性司会者らしきひとにわしを紹介してくれた。

「彼はさあ、マナウスに住んでる日本人のミュージシャン。
俺の友だちなんだ。で、名前なんだっけ?え、トシミ?」

いい加減でしょ?

でもめちゃめちゃいい人でステージ上の音響担当、
リハを終えたバンドのメンバーにも紹介してくれた。

「トシミ。君の出番は10時30分だ。ステージ横に来てくれよ。」

時刻は7時。
なんとかなりそうだぞよ。

前日、ヒデミくんたちと飲んだコロンビア料理のバーで
時間をつぶすことにした。

午後9時30分。
どんなバンドが出ているのかも見たかったし
ステージの様子も知りたかったのでちょっと早めに舞台脇に来た。
演奏しているのは地元のバンド。

リハーサルをしていたバンドとは別のバンドで
パリンチンスのお祭り「ボイブンバ」の曲を
延々と演奏し続けている。
延々とだ。
延々は続き、時刻は11時を回ってしまった。

ボイバンドの演奏が終わり
司会者がアナウンスする。

「次はマナウスからのお客様だ。
日本人のミュージシャン。
JICAシニアボランティア。
西部アマゾン日伯協会のーとーしみーつするたぁー。」

渡した名刺をそのまま読んだな。
嬉しいことだがこれでは何もわからん紹介だあな。

日本人が「R」と「L」の発音を苦手とするように
ブラジルの人たちには「つ」の発音が難しいらしく
TとSUがそれぞれ独立してしまう傾向にある。
だからわしの名前も「つるた」ではなく
「つ・するた」になるのだ。

客席を見ると、
人・人・人。人だらけ。
10000人以上いたんじゃないかな。
ロックバンドのメンバーの助けもあって
1.Imagine
2.幸せなら手をたたこう
3.La bamba
4.Living on a prayer
の4曲を歌うことができた。

1曲目のImagineは英語だけでなく日本語訳も。

「想像してご覧。天国なんてない。
 やってみるのは簡単さ。
 ぼくたちの前には地獄なんてない。
 あるのは広い空ばかり。」(対訳:わし)

意味なんてよくわかんないだろうにこれがウケルんだわ。
当初の予定では1曲目2曲目をひとりで演奏する予定だったのだが
いいタイミングで地元バンドのメンバーが「Imagine」をサポートしてくれた。
そこで2曲目にやろうとしていた曲「島唄」を急遽取りやめて
比較的コードが簡単な日本語の曲にした。

「幸せなら手をたたこう」はポルトガル語バージョンもあるんだよ。
そしてメロディは日本語版よりもちょっと複雑。わしは歌えん。

「La Bamba」の掛け合いも
「Living on a prayer」の掛け合いも
初めてバンドと合わせたわりには上手くいったんじゃないかな。

信じられないことに
大晦日にアマゾンの奥地でライヴができた。
感動したよ。

ライヴの後、いろいろなひとたちから声をかけられたし
写真もいっぱい撮られたりした。びっくりだ。

PA席にお礼の挨拶をしに行ったら
ちょうどラジオの生放送の真っ最中で
ポルトガル語でインタビューも受けたんだよ。

「新年をサン・ガブリエル・ダ・カショエイラのみなさんと
迎えることができて幸せです。ありがとー。」とか言っておいた。
どうだ。ロックスターみたいだろう。わっはっはー。

わしのステージの後は地元のバンドが
素晴らしいパフォーマンスで場内を盛り上げる。

演奏がストップ。

シンコ

クワトロ

トレイス

ドイス

ウン

どかん!どかん!どかん!

カウントダウンだ。

さらに
どかんどかんどかんどかん!
花火が上がってみんなでお祝い。
わしの2011年は終わり
ついに2012年が始まったのだった。

◆浜辺に集まった人たちは1万人はいただろう。


◆地元のバンド「Banda Triáde」のヘルプもあってライヴは大成功。


◆完全アウェイだがその緊張感が面白い。


◆突然現れて歌を歌い出した日本人に興味津々。


◆真ん中のひとがファビオさん。彼のおかげで出演することができた。感謝。


◆自慢のタトゥーを見せてくれた浜辺のアミーゴたち。Feliz Ano Novo!

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