『ジャングルをゆく①』
「明日の朝は早いぞ。6時には迎えに行くからね。」
と言ってたのに
結局1時間以上遅刻してアントニオが現れた。
もう驚かんよ。これがブラジルタイムなんだ。
どうやら昨日の夜から今朝にかけての雨が酷くて
船が出せなかったらしい。
とりあえずガソリンを買って、船に乗り込んだ。
乗船者はわしとよめさんの他に5人。
アントニオ、アントニオのよめさんヴァニウデさん、娘のアンデレイアは11歳。
ヴァニウデさんの父親エウジェニオペドロさん。
それから18歳になるヴァニウデさんの妹のダニエラさんだ。
アントニオはトゥッカーノ族で
エウジェニオペドロさんの家族はデッサーナ族だという。
アンデレイアにはトゥッカーノ族とデッサーナ族の両方の血が流れているわけだ。
セントロ近くの港を出た船は
ネグロ川をぐるっと大回りして反対側の流れに乗った。
アントニオが操舵し、船首ではエウジェニオさんが指揮をとる。
10分後船はジャングルの中に突入した。
まったくなんという景色だ。
昔、浜松の肴街に「ボンベイ」というカレー屋があった。
わしはその店のスピニッチマトンというホウレンソウと羊肉のカレーを
激辛にしてもらって食べるのが好きだったんだが
その店のトイレっていうのが鏡張りだったことを思い出した。
鏡張りの部屋で用を足すと自分のしゃがんでいる姿がどこまでも映し出され
ちょっとしたトリップ感があったが
まさにアマゾンのジャングルの中はその世界だ。
水面全てが大きな鏡になっていて
緑の木々、葉と葉の間にのぞく陽の光や青い空が
なんともいえない空間を作りだしているのだ。
時々エンジンを止めると
エウジェニオさんが櫂でコントロールしながらゆっくり進んでいく。
少しずつ奥へ奥へと進んでいくが
突然大きな倒木によって行く手を遮られた。
「少し戻って、船を止めたらジャングルの中を歩いて進もう。」
◆いざ出発。
◆どこが水面かわかるかな。
◆ジャングルで最初に目にした衝撃的な形の虫。非常に気持ちが悪い。
◆別の角度から見てみよう!
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