Toshimin's waz'up?　-としみんのBLOG-

今から10年以上前の話。

当時勤務していた進学塾が
マレーシアで日本食レストランを開くことになった。
社員の福利厚生と実益を兼ねて、
塾長（社長）自らマレーシアに渡っての経営だったのだが
オープンして何ヶ月かして
「鶴田くん、ちょっと偵察かたがたお手伝いにいったらどうかね。」
という副塾長の一言で２週間ばかりマレーシアに行くことになった。

クアラルンプールの郊外にあるスーバンジャヤって街のレストラン。
日本企業の駐在員のアジア人を見下げる横柄な態度に
腹を立てながらお仕事を手伝ったもんだ。
まあ、お仕事といってもメニューを見直したり
チラシ用のイラストを描いたりで
あとは地元の学生や料理人と遊んでばかりいた。

REVERBのLOSER IN THE ENDって曲はその時書いたんだっけ。

さて、マレーシアライフ。
学生たちと話をしても英語が通じないことが多かった。
簡単な会話や趣味の会話はまだいいとして
なんか政治の話とか聞かれたらもうアップアップでなんだか恥ずかしかった。
文法も発音もハチャメチャのマレーシア英語なんだけど
わしなんかまったく歯が立たんのよ。

帰国後、「英語をなんとかせにゃいかん！」と思ってたときに
地元の新聞に外国人シンガーを擁したバンドの記事が載っていたのを見つけた。

数日後
新聞に載っていたベルギー人シンガーのJCにすぐにコンタクトを取った。

入野のジャスコの近くで待ち合わせして
当時うちの庭にあったカラオケボックスのスタジオ
（つぶれた店から安く買い取ったのだった）でセッションをした。
すぐに意気投合したぼくらは英会話のレッスンも始めることになるのだが
ロックの話や下ネタばかり。
いつも脱線していたのでわしの英語力はちっとも上達しなかった。

出会って間もない頃
JCが浜北市のホールでDREAM THEATERのカバーをやるというので観に行った。

「ロックが好きなの？次のバンドのシンガーはわたしの友達なのよ。」
って話かけてきたのがヴェロニクだった。
当時ヴェロニクはJCと同じ会社で働いていた。

その後も浜松市内の外国人が集まるバーやホームパーティで
顔を合わせるうちにヴェロニクともすっかり仲良くなった。

ぼくのハードロックバンド「REVERB」のライヴにも本当によく来てくれた。
ノイズミュージックのアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンや
アリスクーパーが大好きでビールを飲みながらよくロックの話をしたものだ。

JCが一度ヨーロッパに帰っていた時期も
「SWAMP WATER」で毎週外国人のバーで演奏していた時期も
いつもヴェロニクは友達として
お客さんとして
ロックファンとして応援してくれてた。

先日、そのヴェロニクが天国へ旅立った。
心臓麻痺によるものらしい。

実は、ぼくがFacebookを始めたのはブラジルに来てから。
だからこの半年間はマナウスの仲間やJICAの仲間が友達リストの大半を占めていた。
浜松でのバンド仲間で今はオーストラリアにいるブライアンは
前からぼくの友達リストにいたんだけど、
浜松の外国人仲間（ずいぶん世界各地に散っちゃったけど）とは
殆ど連絡を取らずにいたのだ。

最近、ブライアンのFacebookの日記に
ヴェロニクの写真が素敵な詞とともにアップされてた。
久しぶりに見た顔に嬉しくなって、友達リクエストを申請したけど返事はなかった。
よくよくブライアンの日記を読みなおして事実に愕然とした。

先週、JCとも久しぶりにチャットした。
同郷人としてJCもショックを受けてるようだった。
JCは今、元HELLENの清水さんのCYCLONEってバンドで歌ってる。
名古屋のイベント「アートロックナイト」の仲間ともライヴをやってる。

彼女の死をきっかけにいろんな人たちとまた繋がりが持てるようになった。
ペルー人にカナダ人にアメリカ人にオーストラリア人、韓国人に、もういろいろ…。
当時一緒に飲んで歌って楽しい時間を過ごした仲間たちだ。
すごく勝手な言い方だってわかってるけど
ヴェロニクがまた繋げてくれたんだと思ってる。

友達が葬式の写真もアップしてくれてた。

ちょうど、6月にはブラジルにアリスクーパーがやってくる。
ロック雑誌やいろいろなサイトにはその宣伝が載っているから
今は、Facebookのヴェロニクの写真の横にも
彼女が大好きだったアリスのおどろおどろしいポスターが載ってる。



悲しい知らせを聞いた日は、アリスクーパーばかり聴いてた。
ビリオンダラーベイビーズに俺の回転花火（Under my wheels）、
ノーモアミスターナイスガイにスクールズアウト、ポイズンも。

意外なところでケインロバーツ参加のコンストリクターやレイズユアフィストアンドイエルも
ヴェロニクは好きだって言ってたなあ。
薦められたから買ってみたけどたしかにかっこいいアルバムだった。
「いつか、アリスの曲もステージでやってよ！」って言ってたけどそれも叶わなくなっちゃった。

ぼくにしかわかんない複雑な気持ちを
なんとなく書きとめておきたくなってBlogに載せました。

これからサンパウロに出張。
アートロックナイトにホワイトスネイクのカバーバンド「あかまむし」で
出演したときのギタリストVio-Rayがちょうど国に帰ってきてるから時間があったら会うつもり。

１年ちょっとぶりの再会だけど楽しみだ。
（あかまむしはJCがシンガーでわしがベーシスト）
↓Vio-rayの映像。最後の最後に０コンマ１秒くらいベーシストのわしが映ってる。
http://www.youtube.com/watch?v=XzFjeonib_M

友達は大切にしなきゃ。
こんなに悲しいアリスクーパーはないよ。

Veronique,Rest In Peace.