Toshimin's waz'up?　-としみんのBLOG-

パトリシアさんは、
西部アマゾン大学＜Faculdade da Amazônia Ocidental（通称FAAO）＞で
心理学を教えている。

去年1年間は、忙しい中、
リオブランコ中小企業センターの会議室を借りて週に一度日本語を教えていた。
今年の初めに日伯団体の書類の不備で
青年ボランティアの派遣が中止になったのを受けて、
その日本語教室はストップした。残念なことに今も稼働していない…。

この日、パトリシアさんの車で向かったのはそのFAAOっていう大学。
今年は去年より400人増えて生徒数は2100人。
リオブランコでは3番目に大きな大学なのだ。
大学の中で紹介してもらったのは、
美術担当のマルコ先生と生徒のステファニー嬢。

この二人が最強に協力的で最強に人がいい。
びっくりするほどだ。

時間がない。

まずは、どういう風に原爆展をすれば効果的なのかを話し合った。
マルコ先生の提案で人通りの多い売店前のイーゼル10台に
20枚の写真ポスターを展示。
プロジェクターを使った活動は１階の視聴覚室ですることになった。
講演は4時30分から5時30分までと7時30分から8時30分までの2回。
参加するのはマルコ先生の生徒や興味を持って集まったひとたち。

マルコ先生が視聴覚室に椅子を並べてプロジェクターの準備をしている間に
ステファニーとぼくとでパネルの準備をした。
原爆の悲惨な写真を見ながら学生たちが話をしている。
ここは完全にアウェイ。
日本のことなんてまるで知らなければ
原爆についての知識も関心もないひとがほとんど。

なんてったって、
突然やってきた髪の毛の長い東洋人（最近はボリビア人に見えるらしい）が
いろいろな写真を並べはじめたんだから、そりゃみんな目が点になるわな。
初めて日本人を見たってひとも多いんじゃないか？

露骨に嫌な顔をしていく女生徒や
ふざけて冗談のネタにしているであろう学生もいる。
いろいろな人間がいるんだから仕方がないね。
もちろん真剣に見てくれる人がほとんどだ。



すべてのパネル展示が完成したのが午後4時。



3人で食堂に行っておやつを食べた。
ステファニーお薦めのキビ（ひき肉のフライ・アラブ料理）は旨かった！

4時30分。
生徒が教室に入ってきた。
心理学の授業で忙しいパトリシアさん（唯一、日本語を話せる人）の
助けを借りずに、
ポルトガル語で30人のブラジル人を相手に原爆の話をしなければいけない。

授業の最初にマルコ先生が挨拶してくれ
「ピカドン」の上映、1分間の黙祷、川田さんのスピーチをポル語訳したものの朗読、
「ヒロシマ母たちの祈り」の上映、「ヒロシマの薔薇」の合唱、メッセージの記入と
1時間のプログラムは進んでいった。



続いて2回目の講演。



こちらにはなんと50名以上の人たちが集まった。



内容はほとんど1回目と同じだったが、大人の生徒（30代前後）が多かったせいか
非常に熱心に聞いてくれたし、「ヒロシマの薔薇」は感動するくらい大きな声で
みんなが一緒に歌ってくれた。泣いている人も大勢いた。



講義終了後は、全員がメッセージや意見を書いてくれたんだ。
そのうち「VIVA! AMAZON!」で紹介するつもり。

ひとりひとりに「ありがとう」と言って握手をした。

結局、ピンチがチャンスになったというか
災い転じて福となったというか
1日前には予想もしていなかったリオブランコの西部アマゾン大学での原爆展は
大勢の非日系ブラジル人のみなさんに強烈なインパクトを残して終了した。

ひとつだけ心残りがあるのは
ぼくが今までお世話になったこのリオブランコの友だちに
原爆展を見せてあげることができなかったことだ。
連絡のお粗末さから、日伯関係者、日本語教室の生徒など
誰ひとりとしてイベントのことを知らなかったんだから…。
ぼくが来ることさえ知らなかった。
彼らにも参加してもらいたかったよ。ホントそう思う。

でもでも
火事場の馬鹿力で最後の最後、奇跡の原爆展が開催できたのは
パトリシアさんのおかげ。
そして、FAAOのマルコ先生とステファニーにも感謝。



がんばったから
ビール飲んでもいいでしょ。

ソルティドッグのようにコップのふちに塩を塗り
氷とレモンを入れてビールを飲む。
これがアクレ流！