アマゾナス・ヘヴィメタル・タクシー。

出張に行く際
いつも利用するのが「アマゾナス・タクシー」という
地元のタクシーだ。
出張時は、空港まで行くバスがなかなかないのと
バスも走っていない時間帯での移動が殆どなのでタクシーを使っている。
ふだん買い物に行ったりセントロに移動するときも
バスで行くか、このタクシーを使うことが多い。
(自転車も自動車も運転できないきまりなのだ)

アマゾナス・ヘヴィメタル・タクシー。

トカンチンス・タクシー、トゥクシー、マセイヨ・タクシーなど
マナウスには、様々なタクシーの会社があるが
悪徳タクシーも少なくない。
その点、ディスカウントしてくれて比較的親切、
時間通りにやってきてくれるのが「アマゾナス・タクシー」だ。
電話で予約すると陽気な女性スタッフが
「おー、トゥスールーター!」と変な発音で応対してくれる。

運転手の何人かは、もうすっかり顔馴染みでその中にはロック好きも多い。
わしのAC/DCのキャップを見たり、アコースティック・ギターを見たりして
いろいろと話しかけてくるんだな。
マナウスのロックバーで働きながら運転手をしているひともいれば
単純にロックやセルタネージョが好きな運転手もいる。

NEIさんは、何人かいるそんなロックドライバーのひとり。
他の運転手と違うのは、彼が筋金入りのヘヴィメタル馬鹿で
移動中ずっとヘヴィメタルを流し続け、
新旧、国内外問わずヘヴィロックの蘊蓄を延々と喋りつづけることだ。

NEIさんの声は低くて小さくて早口で
聞きとりにくいこと極まりないのだが、
二千なん年に見たメガデスのコンサートはどうだったの、
アングラはアンドレマトスの時代がよかっただの、
シャーマンってブラジルのバンドがどうのこうのと
一生懸命話してくれるので
空港までの結構長い道のりもいつもあっという間。

今回の出張は夜中の11時発というものだったが、
電話で予約すると、定刻に現れたのはNEIさんだった。

「おー元気か?これうちの奥さん。今、病院にいってきたんだ。」
なんとタクシーの助手席には奥さんが乗っておった…。
ブラジル、自由度高いなあ。

ちゃんちゃらららー
ちゃんちゃらららー
ちゃんちゃららら。
ハ~イリ~ハイ、オ~ハンダ♪

車内に乗り込むと陽気な民謡が流れてきた。

しかしながら、これはただの民謡ではない。

メタルファンならだれでも知っている
ドイツのメタルバンドACCEPTの4枚目のアルバム「RESTLESS AND WILD」の
オープニングナンバーFAST AS A SHARKへと続くイントロダクションなのだ。
民謡を口ずさむとNEIさんが
「お前はわかってるなあ」とも言いたげにうんうんと満足そうに笑っている。
そして、
「これはいいアルバムだ。」とボソっと呟く。



わしもアナログ盤でいうところのA面が特にお気に入りのアルバムだ。
次の曲が始まるタイミングなどパーフェクト!
ディーターダークスのプロデュースが冴えまくった1982年の作品。
高校生の頃、1曲目からの流れが好きでA面ばっかり聴いてた記憶がある。
(Flash rockin' manやPrincess of the dawnなんかも好きだけどね)

アマゾナス・ヘヴィメタル・タクシー。

ACCEPTにAC/DCにANGRAと非常にわかりやすくアルファベット順で
アーティストの演奏が流れる中、メタル談義は続く。

「1985年か86年に東京でACCEPT観たよ。
METAL HEARTのツアーだったかな?いいライヴだったよ。」

「UDOは最高だよ。ACCEPTを脱退してからもいいアルバムをいっぱい作っている。
俺はライヴを完全録音したものを持っているが最高だ。」

「そういえば、4月にブラジルで大きなイベントあるよね。UDO出るんじゃない?」

「METAL OPEN AIRだろ。MEGADETHも来るし、UDOも出る。観にいこうと思ってるんだ。」

「へえ!うらやましいなあ。」

助手席で携帯をいじりながら奥さんがやれやれという顔をしている。

http://www.metalopenair.com/

今年4月19日から21日まで
サンルイスで行われるMETAL OPEN AIRのラインナップは次の通り。
ANTHRAX,EXODUS,DIO,UDO,MEGADETH,VENOM,SAXON,SYMPHONY X,
ANVIL, ANNIHILATOR,EXCITER,DESTRUCTION,GLENN HUGHES,
GRAVE DIGGER,BLIND GUARDIAN,FEAR FACTORYなどなど。
アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダなど全世界から集まったこれらのバンドを
迎え撃つのがSHARMAN,HANGARなどの国産ブラジルメタル約30バンドだ。
チケットは一日250ヘアイス。
二つのステージは、亡くなったミュージシャンを追悼して
ロニー・ジェイムス・ディオステージとクリフ・バートンステージと名付けられている。
DIOとして出演するバンドのメンバーは、スコット・ウォーレン(キーボード)
クレイグ・コールディ(ギター)サイモン・ライト(ドラムス)
ジェイムス・ロメンゾ(ベース)。そして肝心のヴォーカルはというと
トビー・ジェプソン(LILLTE ANGELS,FASTWAY)と
ティム・リッパー・オーウェンズ(JUDAS PRIEST,YNGWIE MALMSTEEN)
の二人が務める。
また、ROCK N ROLL ALL STARSというバンドもこのイベントに登場するが
このメンバーが凄い。
Gene Simmons (KISS), Joe Elliott (Def Leppard), Matt Sorum (Guns N' Roses), Duff McKagan (Guns N' Roses), Gilby Clarke (Guns N' Roses), Glenn Hughes (Deep Purple), Ed Roland (Collective Soul), Sebastian Bach (a voz original do Skid Row), Steve Stevens (Billy Idol), Mike Inez (Alice in Chains) e Billy Duffy (The Cult)

アマゾナス・ヘヴィメタル・タクシー。

サンルイスはマナウスから遠いし、わしには仕事もある。
そんでもってお金もない。(一番大事なところ!)
絶対に行くのは無理だけど魅力的なイベントだあね。

「そうそう、トシミにプレゼントがあるんだ。」とNEIさん。
なんじゃそりゃ?タクシーの運転手にプレゼント貰うってどういうこと?

「今日は持ってきてないから今度手渡すよ。」
ちゅうかいつ君のタクシーにまた乗るかわかんないじゃん。
あ、でも出張から帰った時、空港まで来てもらえばいいんだな。

「わし、金曜日の夜中に帰るから、出張先から電話するよ。
夜中到着だけど大丈夫かな?とりあえず、番号教えて。」

「OK。そのときに持ってくるよ。いい旅行を!」

「ありがとう!」

数日後…。

わしは出張先からNEIさんに電話を入れた。

「あと1時間後に着くから空港までよろしく!」
「OK。」

1時間後、マナウスの空港に到着するも影も形もない。
もう一度電話すると
「あと十分で着く。」とのことだった。
二十分後、やっと到着。
「お腹を壊していて家で寝ていたんだ。」
ありゃま。

「プレゼントは明日渡すよ。」
あれー?ま、あんまり期待はしていなかったんだが…。
でもな、明日は一日中授業やったり勉強会したり会議があったりするんだけどな。
明日は忙しいんだよと伝えると
「大丈夫。家の門の前から電話するからすぐ終わるから…。」

ずいぶんもったいつけるなあと思いつつ
「ありがとう。じゃあ電話待ってるよ。」と伝えてタクシーを降りた。

それから40時間くらい経つが
連絡まるでなし。

結局、プレゼントってなんだったんだろ?
めっさ気になる。
万が一貰ったらBlogでも報告するのでよろしくー!



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この記事へのコメント
すんげーラインナップだ(汗)、、、、20~25年前のフェスティバルだよって言っても通用するかも(笑
Posted by Kaz.Fujita at 2012年04月17日 10:04
>Kaz Fujitaさん
すごいでしょ?
Burrnの表紙同様、なんも変わらんメンツ。ははは。
信念をもって演奏し続けるバンドも
信念をもって応援し続けるファンも
両方素晴らしいね!
Posted by としみんとしみん at 2012年04月19日 22:37
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