わしの要請内容の中に
西部アマゾン地域の日本語教育施設への巡回出張というのがある。
ロンドニア州のポルトベーリョ市もそのうちのひとつだ。
グアポレ移民と呼ばれる日本人移民が
トレゼ・デ・セテンブロに入植したのが1954年のこと。
現在もポルトベ―リョ日系クラブのみなさんが
日本語教育の灯を守っている。
それをサポートするのが我々ボランティアの仕事だ。
さて、ポルトベーリョ市はロンドニア州の州都なのだが
この広大な州は、ガビアオ族、アララ族などの
先住民族(インディオ)の土地としても知られている。
貴重な鉱山資源や木材がインディオ居住地にあることから
それに目をつけた白人(非原住民)との間で様々な争いがあった。
FUNAI(ブラジル国立先住民保護財団)が管理しているとはいえ、
現在も問題は山積みだ。
わしは、この二年半の活動の合間に
アマゾナス州サンガブリエルダカショエイラ市では
ダウ族のコミュニティを訪れ
トゥッカーノ族の一家に案内されてのジャングルトレッキングを体験し、
ヤノマミ族の集合住宅も訪問した。
ロライマ州ボアビスタ市では
マクシー族の女性による陶芸工房を訪問したこともある。
そして、去年ロンドニア州ポルトベーリョ市内にある
インディオ居住地において
日本への来日経験もあるという
アンテノールさんという酋長と会見することができたのだった。
その時は、日帰りでの部落訪問を計画していたのだが
『そんなに短時間では部落のこと、
インディオの生活のことなどわからない。
写真を撮って、はい、おしまい。これでは意味がない。』と言われ
改めて訪問することを約束して別れたのだった。
その時アンテノールさんは
『日本人はインディオに似ている。
物静かで忍耐強く尊敬する心を持っている。』と言っていた。
わしはその言葉に非常に感激し、
約束を果たすべく
よめさんとともに二泊三日の旅行予定を立てたのだった。
期間は一月十日からの三日間だ。
