西部アマゾン中を飛び回って
いろいろなところで日本語を勉強している生徒たちと話をする。
中には出かせぎとして日本に住んでいたことがある人も大勢いる。
JICAボランティアのビアンカ先生のいる
パリンチンスのキムラ語学センターで勉強をしている
フランシロ・フランク・マルチンスさんもそんな一人。
彼の名前には日本語の名字や名前がないでしょ?
実は、彼の奥さんが日系人だったので日本で働けたんですねえ。
今回は、フランシロさんにインタビューしてみたよ。
トシミ(以下ト):こんにちは。今日はいろいろ聞かせてくださいね。
フランシロさん(以下フ):はい。よろしくお願いします。
ト:フランシロさんはパリンチンス生まれですよね。日本にはどのくらいいたんですか。
フ:1997年から2000年まで。それから2007年から2009年までと2回行きました。
ト:日本ではどこに住んでいたんですか。
フ:静岡県湖西市では自動車、岐阜県中津川市ではブレーキ、富山県高岡市では重機、
静岡県浜松市では自転車や冷蔵庫を作っていたんです。
ト:あれっ。今日の服はもしかして日本で働いていた時の制服?
フ:そうです。そうです。富山にいた時の会社のです。
ト:ずいぶんいろいろな仕事をしたんですねえ。日本には何か思い出がありますか。
いい思い出だけじゃないかもしれません。悪い思い出でもOKですから聞かせて下さい。
フ:日本で悪い思い出なんてひとつもないですよ。(笑)仕事中に手を怪我したことくらい。
ほら、見てみて。ここに傷があるでしょ。(手のひらの傷をみせながら)
日本人は仕事場でもどこでもみんなやさしくしてくれたんです。
アマゾンでは絶対見ることができない雪を見ることができたのもいい思い出。
それから日本の料理はとにかく美味しかったですねえ。
ト:日本の食べ物美味しいですよね。どんな料理が好きですか。
フ:らーめんです。らーめんは味噌らーめんがいいですね。
それから『すきや』の牛丼ね。
日本のお茶も好きです。ブラジルにもお茶はあるけど砂糖が入っていて甘いんだよね。
ト:なるほど。本当に甘いもんねえ。また日本に行きたい?
フ:行きたいです。わたしは、スペイン語も英語も勉強したいって全然思わないんです。
日本語が面白いんですよ。
今の彼女は日本行きには反対してるけど、また行きたいですね。(苦笑)
わたしがどうして日本語を勉強しているかというと、
もしまた日本に戻った時にもっとたくさんの日本語を使って、
もっといっぱい友だちを作りたいからなんです。
ト:日本にいるブラジル人のみんなになにかメッセージありますか?
フ:はい。ブラジル人は大きな夢を持って、
希望を持って仕事をがんばっていると思います。
夢が叶うまであきらめないでほしい。
何があってもまっすぐ前を見てがんばってほしいです。
ト:ありがとうございます!最後は逆に日本人にメッセージがありますか?
フ:日本で起きた地震や津波など本当に悲しいと思っています。わたしが知っている日本
人はみんな仕事を一生懸命にやっていて、すごく尊敬しています。
ト:やさしいメッセージありがとう。今日は授業の後、インタビューに応えてくれてどう
もありがとうございました。また日本語の勉強がんばりましょうね!
地震や津波の話になったとき、
フランシロさんは目を真っ赤にしながら一生懸命話してくれた。
インタビューする前、ぼくは正直辛いことや嫌なことの経験談もいくつか聞けると思っていたんだ。
それだけにいい意味で裏切られた感じがして清々しい気分になったよ。
おべんちゃらを使うようなひとではない誠実なフランシロさんの言葉だから嬉しかった。
先日、日本での悲しいニュースを発信したばかりで気が重かったから
みんなにもいいお話を提供できてよかったと思う。
フランシロさんありがとう。
こんなインタビューばかりだったらいいな。
