一月十一日午前八時。
曇り空の中、
再び、集合場所のFUNAIにやってきた。
われわれに見覚えのある中年男性が近づいてきた。彼もインディオだ。
ちなみにここでは、インディオ、インディオと発言しているが
インディオと呼ばれるのを好まない人たちも多いので
敬意をこめてポルトガル語では『インジジナ』という言葉を使うようにしている。
男が話しかけてきた。
「今から部落にいくのか。
なにを目的にいくのだ。
許可証はもっているのか。」
険しい顔でいきなりの質問攻めにあった。
こちらの返答にもニコリともしない。
ほどなくしてアンテノールさんが到着した。
白人の女性を引き連れての登場だった。
インディオ男性は、アンテノールさんに
一体どういうことだと言わんばかりの表情で話しかけている。
こちらは状況がさっぱりわからずにいたが
あとで聞いたところによると
彼は同じ部族の別の集落の酋長であり
われわれの訪問について知らされていなかったことに
『俺は聞いてないよ』とばかりに腹を立てているとのことだった。
これは、アンテノールさんの連絡ミスで
われわれはそのとばっちりを食った格好になった。
もう一つわかったことがある。
去年アンテノールさんに初めて会った時は
酋長として彼を紹介されたのだが
実は酋長代行というか点在する各部落の渉外広報担当のような役目らしい。
ということでややこしいのだが、酋長はこれから訪れる部落にもいるし、
市内の集合住宅にもまた別の酋長がいる。
部族のコミュニティは大きく分けて四つあるということだった。
運転手はジョゼマリアという名の男性だった。
政府からの援助金で三菱の4WDを現在インディオ部落で4台所有しているとのこと。
荷台に荷物を積み込み、さあ、出発だ。
ポルトベーリョ市内のガソリンスタンドで約束の60リットルを補給した。
