『サラがんばる』

ガイドよろしくいろいろな植物を紹介しながらサラが先頭を行く。
「これがププーニャの木。これはウンバウーバ。大きな葉が綺麗でしょ。」

まだここに来て2週間というヒデミくんもいろいろ知っている。
「これはタペレバの実だよ。食べてみる?」
どへー。めっさ渋い。

遠くにネグロ川が見える。
ネグロ川に浮かぶ島は左がilha de juiz(裁判官の島)で右がilha de sol(太陽の島)。
島にはレストランもあるんだそうだ。

山道の途中には小さな記念碑がある。
頂上まで14か所あるこの記念碑は
「十字架の道行きの14場面」を表すもので、
「聖週間」になると街の人たちがこの山道を巡礼して歩くのだという。

よめさんもわしも若い二人になんとかがんばってついていく。
玉のような汗をかきながら、ついに頂上に辿りついた。

絶景かな。絶景かな。

山頂には大きな岩でできた洞窟があり
その上にキリスト像やマリア像がある。

なんとここは
「聖ノッサ・セニョーラ・アウシリアドラ教会」のチャペルなのだ。

ヒデミくんが持ってきたリンゴを頬張り、
水を飲みながら頂上から見えるジャングルの絶景を楽しんだ。

「トシミ。この山のジャングルの中にさあ
もうひとつ洞窟があるらしいんだけど行ってみる?
サラが昔行ったことがあるっていうんだよ。
行き方は忘れちゃったみたいだけどなんとかなるだろう。」

「もちろん!」

われわれは、山道を外れて
サラの後に続いていくことになった。

ターザンが使いそうなツタをつたい、急な斜面を下りる。
洞窟まではなんとなく道らしきものがあるのだが心もとない。
サンダル履きでの山歩きは滑りやすいので
細心の注意を払いつつゆっくり進んでいく。

ジャングルトレッキングはこれで何回めになるだろうか。
マナウス近郊のトレッキングツアーに
アクレ州リオブランコ。それからマラジョー島でもジャングルを歩いた。
あの時は、木の実の中に入っている芋虫を生で食べたんだった。

サラは裸足でガンガン森の中に踏み込んでいく。
その後をヒデミくん、よめさん、わしの順番で進む。

おおおお。

なんじゃこりゃあ!

目の前に現れたのは何十メートルもある巨大石群でできた洞窟だ。
うひゃあ。これは凄い。

石と石の間から下を覗くと
気絶しそうな高さだった。
44メートルの高さからのバンジージャンプは経験済みだが
わしは高所が苦手なんだよ。

別のルートを使って洞窟の下まで辿りついた。
なんて神秘的な場所だろう。

サラとヒデミくんが話し合っている。
どうやって元の道に戻るかを決めているのだ。

今来た道を頂上までまた戻るか
岩の間の人一人通れるかという隙間を抜けて
さらにジャングルの中を通り山道に戻るか。
どうする。どうする。

後者を選ぶことにした。
なかなかのサバイバルだぞ。

途中、サラが道を失ったらしい。
ヒデミくんは元来た道を戻ろうって言ってる。
山を下りたらすぐに人家もあるし、まあ大丈夫なんだろうけど
ちょっと心配になってきた。

道なき道をサラがひとりで突き進む。
さすがヤノマミ族。速い。
あっという間にジャングルの中に消えていく。

遠くから声が聞こえた。
「大丈夫みたい。」
大丈夫なのか、
大丈夫みたいなのかって結構重要なところなんだが
彼女を信じてついていくしかないわな。

あ。出したての動物のウンコだ。

あ。ビールの空き缶だ。

空き缶があるってことは
人間が使う山道の近くだよなと思っていたら
十字架の道行きの14場面を表す例の記念碑が見えた!
やった!

でかしたぞ。サラ。
しかも、もう麓じゃないか!

めでたし。めでたし。
よし。Bar e restaurante M.Mで昼食を食べよう。

なんと、われわれは
ガイドブックによると片道15分のコースの山に
2時間以上もいたのだった。

こうして大晦日午前の部は終わった。

◆ヤノマミ族のサラ。ふだんはセントロでふつうに働いている。
『サラがんばる』

◆タペレバの実は渋い。
『サラがんばる』

◆14個の記念碑が頂上への道の目印になる。
『サラがんばる』

◆到着!
『サラがんばる』

◆頂上にはマリア像と十字架がある。
『サラがんばる』

◆頂上からの眺めは素晴らしい希望を感じさせるものだ。
『サラがんばる』

◆知る人ぞ知る秘密の場所。ジャングルの中に突然巨石群が現れる。
『サラがんばる』


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