朝6時に起床。
ブラジリアからやってきたという男性と
ロックの話で盛り上がりつつ朝食をとり、精算を済ませる。
ホテル・デウス・メ・デウともお別れだ。
7時半に空港行きのバスが出るというので
なんとなく人が集まっているところになんとなく並ぶ。
バスが来た。
前日キム牧師が言っていた通り
見た目以上に中身も相当年季が入っている。
TRIPの従業員が運転し、空港職員も乗り込む。
バスは公営市場の前を通り、
Bar e restaurante MMの角を空港方向に左折する。
ボア・エスペランサの丘の麓に墓地が見えた。
インディオ率の高い街だけあって供えられている花も鮮やかだ。
おんぼろバスは上り坂で止まりそうになりながらも頑張って進む。
飛行機が遅れるのを心配する前にこのバスが遅れそうなのだ。
ヤノマミ族のコミュニティの前を通過するとUEAや軍隊の建物が見えてくる。
この道をまっすぐ行くと高速艇やバルコの船着き場で
左折すると空港に辿りつく。
マナウスからの高速艇を降り、
真夜中この道を通って
サン・ガブリエル・ダ・カショエイラのの市内に向かったんだ。
10日間なんてあっという間だなあ。
森が少し開けてきたところに小さな空港があった。
サン・ガブリエル・ダ・カショエイラは、
「小さい滝の聖ガブリエル」という名前がつく前は
その形から「犬の頭」(cabeça do cachorro)とか
近くを流れるウアペス川から「Uaupés」と呼ばれていた。
空港にもその名がついている。
それにしてもAeroporto de Uaupés(ウアペス空港)は
バスに負けないくらいのボロさでたまげた。
何といっても世界の経済力6位の国だよ。ブラジル。
そのブラジルの空港とは思えない。
電気がないから暗い。
電気って照明がないってことではなく
本当に電力がないのでコンピューターなどの類は一切ない。
カウンターがあるだけ。
航空チケットはその場で身分証明書を見ながら手書きで行われる。
案の定またThoshimiとか書かれた。
チェックインする前に警察による荷物検査がある。
さすが、コロンビア、ベネズエラ国境の街だけあって厳しい。
ブラジルの他の地域ではこんな検査まずないんじゃないかな。
果実などを持ち出していないかなど聞かれたが
スムーズに終了した。
従業員に「出発は時間通りですか。」と聞くと
「たぶんね。天気次第だなあ。」と答えてくれた。
汚い空港の隅、さらに暗いスペースに
おばちゃんが飴やガムの入ったビンや
コーヒーの入った魔法瓶を置き始めた。
あっという間に空港内に喫茶店が完成した。
空港は市内とまるで逆で
インディオ率は極めて低い。
汚い空港だけど、ここに住む人たちには手の届かない無縁の場所なんだろう。
飛行機に乗り込むために
開いた待合室の扉が
インディオのの空間から現代社会へ戻る扉のような気がして
なんだか不思議な気分がした。
わしらを乗せた
プロペラ機がマナウスに向かって飛び立つ。
ホテルのおばちゃんが言っていたとおり
クリクリアリ山脈はセントロから見たら
女性が横たわっているように見えたけど、
上空から見たらまるでバラバラ。
「眠れる森の美女」も幻だったようだ。
濃い思い出をありがとう。
さらばサン・ガブリエル・ダ・カショエイラ。
また会う日まで!
(おしまい)
◆空港までの送迎バス。昭和のヒーローものに出てくる悪の組織の車ではない。
◆サン・ガブリエル・ダ・カショエラ空港。レストランではない。
◆TRIPの中でも一番小さいプロペラ機で現実の世界に戻る。
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