船は20分ほどで目的地「インディオ・ドウ」に到着した。
数年前にモイゼスくんの父親がこの土地を買い
インディオに提供したのだそうだ。
コミュニティがここには存在し、何家族も住んでいる。
ホザーニさんの家もここにあるし
学校もある。40人程のインディオの子供たちが通っているが
言葉の問題、施設の問題など多くの問題を抱えているのだ。
船着き場から急な斜面を登ると
1軒めの家が見えてきた。
丸太の柱とジャングルの木の皮で葺いた屋根だけの家に
ハンモックが吊られている。
硬い土の上の焚火にかけられた鍋からは湯気があがっている。
「#*%&$+|¥…。」
インディオの言葉でホザーニさんが話しかけると
みんな笑顔で挨拶を返してくれる。
わしらはポルトガル語で「ボンジーヤ(おはよう)」って挨拶するしかない。
この部落の人たちに限らず
ブラジル北部のインディオはポルトガル語を話せるひともいる。
この部落は、街にもかなり近いところにあるので
ポルトガル語でも会話も問題ないのだろう。
それにしてもホザーニさんやモイゼスくんのお父さんたちの行動力には頭が下がる。
インディオ・ドウの言葉ひとつとっても母音だけで15もあるというんだから。
クリクリアリに住んでいるバレ族の一家は
時々街に用事があるとこの部落に立ち寄るのだという。
トゥッカーノ族のマラジルージさんも
旦那さんのアレシャンドレさんとクリクリアリから来た。
「おはよう。ププーニャ食べる?」と勧められた。
鍋で煮ていたのはアマゾンの植物ププーニャの実。日本の栗に似た味だ。
塩が効いていて美味い。
コーヒーとププーニャをご馳走になっていると
食べカスを狙って犬や鶏が集まってくる。
「あれ、○○くんはどうしたの?」とホザーニさんが聞いた。
「ハンモックの中よ。マラリヤにかかっててね、調子が悪いの。」
マラリア?酷い病気なんじゃん。
調子が悪いっていってもハンモックでねるしかないんだなって思った。
熱があったりして大変なんだろうにハンモックの中の子どもは
突然の来訪者を見てお兄さんであるとみられる男の子と笑っている。
「もう少し行ったところに私の家があるの。
部落では写真を嫌がる人もいるから注意してね。」
心配したけどみんな友好的だったよ。
次に訪れたインディオの家は
さっきとまた違った趣がある。
われわれがイメージする羽根をつけて槍を持って顔を塗ってという
インディオはここにはいない。
Tシャツを着て、金属製の鍋も使う。
でもそれ以外はほとんど現代の文化のにおいはしない。
昔ながらの生活を昔ながらの方法で守りながら
暮らし続けているのだ。
◆一般的なインディオの家。
◆クリクリアリから来たという男性。
◆この小柄な女性は高い声でよく話す。
◆ご馳走になったププーニャの実。
