12月30日。
朝6時にホテルを出て
浜辺まで朝日を見に行った。
頑張って歩いたのに今日も曇り空でなかなか日の出には出会えない。
ホテルに戻ってメールをチェック。
モイゼスくんからは「対岸にインディオ・ダウという場所がある。
そこにホザーニっていう女性の研究者がいるから訪ねるといいよ。」というメール。
また、マナウスでガイドをしているアレックスからは
「兄弟が近くに住んでるから山を案内してくれるかも。毒蛇に注意ね。
それから、おじさんもマンジョカ芋の畑を見せてくれると思うよ。
彼はほとんどポルトガル語がわかんないけど。」というメールが届いていた。
「OK。わしもポルトガル語わかってないから、大丈夫。」と答えておいた。
アレックスはサン・ガブリエル・ダ・カショエイラからもっと奥に入ったところの出身。
丁寧にメールを送ってきてくれるので心強い。
とにかく、インディオ部落に入るための許可証をもらわなきゃ。
約束の時間午前8時ちょっと前にFUNAIに到着。
鍵は締まっているし誰もいない。
建物の前に座り込んで待っていると一人の男性が現れた。
彼の名前はエジソンさん。
パラー州から出てきてここで働いているんだという。
前日、書類を作ろうと言ってくれたドミンゴスさんの知り合いらしい。
「君たちはインディオの作るものに興味があるんだね。
家から持ってくるからここで待っててくれよ。
うちは浜辺の真ん前にあるんだ。」と言い残し
赤いスクーターで浜辺のほうへ走り去っていった。
8時をだいぶ回ってからドミンゴス氏が到着。
「書類を作るけど、インディオの女性は同行してないのか?」という。
わしの勘違いだった。
自分だけ身分証明書をもってくればいいのかと思っていたんだが
そうは問屋がおろさなかったってわけ。
同行者とのインタビューをしたいというのだ。
「今日の午前中までに同行者を連れてくるように。午後は休み。
明日も明後日も土日で休日だからね。」
早速、インディオの彼女たちオジレイニ姉妹に連絡を取りたかったのだが
携帯への通話はブロックされていて駄目だった。
途方にくれたわしは
インディオの民芸品を見せてくれるって言ってたエジソンさんに
再び会うために浜辺への道を歩き始めた。
エジソンさんは「FUNAIで待ってて」って言ってたけど
書類も作れずに秒殺で用事が済んでしまったからなあ。
浜辺までは一本道だし途中で会えるだろうと
歩き始めたのはいいがクラクラする。日陰のなんとありがたいこと。
まったくもっておそろしい暑さだ。
なかなか赤いスクーターにはお目にかかれない。
結局、道中、エジソンさんには会えず
ついに浜辺まで歩いてきてしまった。
こうなったら自宅を探すしかないな。
浜辺にある比較的大きい商店のおばちゃんに
さっきFUNAIの前で撮ったばかりのエジソンさんの写真を見せた。
わしゃ刑事か?と思ったよ。
「あーこの人の家ね。ここまっすぐ行って左。
Temos Açai(アサイーあります)って家の前に書いてあるからすぐわかるよ。」
しばらく歩くとたしかに「アサイーあります」の看板が見えてきた。
中で掃除をしているおばちゃんに聞いた。
「エジソンさん、いますか」
「さっき一度帰ってきたけどまた仕事に行ったよ。スクーターに乗って」
あちゃー。やっぱり行き違いになったんだ。
「仕事はどこでしてるんですか?」
「FUNAIよ。」
そうか。エジソンさんはたしかにここで働いている。って言ってたっけ。
ここってこの街ってことじゃなくてこの建物(FUNAI)ってことだったんか。
うひー。また逆戻りじゃん。
乗合タクシーだあね。
FUNAIに着くとエジソンさんが袋を持って待っていた。
「これとこれとこれね。」と言って
インディオの工芸品(かごと壺と小皿)を手渡された。
「何ですか、これ?」
「プレゼントだよ。」
えー?会ってまだ1時間もしてないのに?
なんじゃそりゃ?
しかも、インディオの街に行けるようにと
オジレイニさんたちにも連絡をとってくれるという。
なんていい人なんだ。
昼食を食べるためにセントロに戻り
ポルキロ(量り売り)のお店に入る。
なかなかの味。この街の食べ物には外れがない。
「あ!」
オジレイニさんたちだ。
エジソンさんの電話を受けてこの食堂を探し当てたらしい。
どうしてわかったかが不思議。
彼女たちによるとFUNAI(Fundação Nacional do Indio)よりも
FOIRN(Federação das Organizações Indígenas do Rio Negro)のほうが話が早いらしい。
FOIRNはネグロ川インディオ協会連盟のことだ。
ああ、それにしても
もうホントに自分のポルトガル語力の低さにうんざりする。
まあ、こういうサバイバルだから面白い旅になっているんだけど。
◆エジソンさんはパラー州の出身。バルセロスもサンタ・イザベラも彼の管轄。
◆セントロ近くの港からみた街の様子。
