『待つのが平気なひとたち』

1月5日。
あと一日なんだからのんびり過ごすぞ!と思ったが甘かった。

午前7時起床。8時のブラデスコ銀行の開店時間に合わせてホテルを出る。
セントロの道を歩いていると
「トシミー。」と声をかけられた。
韓国人のキム牧師だ。

「昨日、ホテルを訪ねたんだけどどこかに行っていたのかい。
もしよかったら今日の夕方5時。教会にいらっしゃい。お茶でもしよう。」
と誘われた。
「ありがとうございます。後ほど伺います。」と言って別れた。

銀行到着。
8時を少し回っただけだというのに銀行の前も中も人だらけ。
列は3列にも4列にも及び、
どこにどうつながっているのかもわからない。
周りの人たちに質問していくうちに
口座開設、相談、振り込み&引き出し、振り込み&引き出し(高齢者)の
4列があることがわかってきた。
わしらはここでお金をおろしておかないと宿代が払えないのだ。

ブラデスコ銀行サン・ガブリエル・ダ・カショエイラ支店は
開行したばかりなのか改装したばかりなのかいたって清潔で
この街にはそぐわない…。
カウンターの中で働くのは同じホテルに宿泊している人たちだ。
大都市から交代で勤務しているらしい。

インディオの中にはうまくポルトガル語を話せない人も多い。
高齢者となればなおさらだろう。

隣に並んでいるインディオのおじいちゃんは
赤いブラデスコのキャッシュカードと
順番待ちのカードと
身分証明書のほかに
くしゃくしゃのメモ書きを無言で差し出した。
メモには金額らしき文字が書かれている。

別の列には昨日マンジョーカ芋を汗だくになって運んでいた
ヴァニウデさんの姿が見えた。

うまく言葉で表現できないが
自然の中で自給自足、物々交換など自由な生活をおくってきたインディオの世界に
貨幣経済が広まって奇妙な歪みが生じているような印象を受けた。
高齢者の列に並ぶひとたちは70歳から80歳くらいだろうか。
この数年で生活は激変しただろう。

さて、カウンターでおろしたお金だけでは
足りなかったのでATMでもおろして足すことにした。

サン・ガブリエル・ダ・カショエイラ支店のATMは3機ある。
一番左は故障していて完全に使えない。
自動的に右の二つの前に列ができる。

真ん中は印なし。いちばん右側には車椅子の印。
ふつう真ん中に並ぶよね。でもほとんどのひとがいちばん右側に並んでいる。
車椅子のひとは一人もいないのに…。

係の人に聞いてみると
真ん中の機械は残高照会のみ。
いちばん右の機械は振り込みも引き出しもできるという。
貼り紙も注意書きもどこにもないのによくみんなわかったなあ。
こういうところがブラジルらしい。
病院でもどこが担当医の部屋かわかりにくかったり
大学にいっても教室がなかなか見つけにくかったりする。
日本のような単純明快わかりやすい道しるべや注意書きは期待しちゃあいけない。

無事(?)お金もおろせた。
これだけで約1時間半もかかっている。

ブラジルのひとたちは待つのが平気なのか、
結構な時間を文句も言わずに待ち続ける。

そのくせ列の作り方は、人でも車でも下手だったりするし
飛行機が着陸したときの機内なんかは
しっかり飛行機が停止する前に
我先に立ち上がって出口に殺到したりもする。

辛抱強いのか、気が短いのかよくわからなくなるよ。

◆郊外の店。その名も「いい時間の店」。絵になる。
『待つのが平気なひとたち』

◆だいたい一日に一回すごい雨が降る。
『待つのが平気なひとたち』

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